清川永里子(きよかわえりこ)
マレーシアで生まれる 東京在住
著者、声楽家(歌曲)、舞台評論家、ボイストレーナー、メンタル心理カウンセラー、ジェラシー研究家
3歳 ピアノを始める
マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナムで過ごす
小学校時代 歌に出会う
中学時代 九州へ一人旅(鉄道好き・音楽部・ボランティア委員長)
高校時代 春季カタルのため、視力を2年間ほど失う
音楽大学へ モーリス・ラヴェル作「ボロディン風に」を聴き感動する
オーストリア ウィーン留学 オペラを鑑賞
大学時代 声楽を学ぶ 歌曲の声楽家として舞台へ
大学院時代に音楽学を学び、音楽評論・音楽執筆家へ
メンタル心理カウンセラーの資格を取得
ボランティア継続中(公園での炊き出し・老人ホームで歌を披露)
演奏会パンフレットの楽曲紹介、解説、評論文を担当
朝日新聞デジタルで連載「ベルサイユの音楽会」
SPICEで連載「フランス革命時代の人物像」その他音楽記事
ダイヤモンドオンラインで声の記事多数
「迷ったら声で決める」 出版(さくら舎)
しゃけ:
「迷ったら声で決める」読ませていただきました。本の帯に「あなたの声は一瞬で判断されている!」とあるのですが、私の声も一瞬で見抜いていましたね(笑)
永里子さん:
あはは。当たっていましたか?しゃけさんの声は魅力的だと思いますよ。初対面にも関わらず「何も考えていなそう」って言っちゃったけど(笑)声に興味がなさそうという意味です。声にはその人の性格、体質、その時の気分、すべて出てしまいますよね。
顔はお化粧である程度変身できますが、「声」には「素の自分」を隠し切れない面白さがあると思います。話し方、選ぶ言葉、抑揚でわかってしまうこともありますよね。
しゃけ:
「迷ったら声で決める!」を読みながら、自分の声を初めて意識・分析してみました。すると不思議と、自分の声が好きになったんです。今までかなり嫌いだったんですけど。
永里子さん:
え!それは嬉しいです!特に日本人の方は、自分の声が嫌いだという方は多いのではないでしょうか。声は唯一無二の楽器のようなものですから自分の声を好きになったら、ずっと好きな音を聴いていられるということです。自分の声で自分が癒されるということもありますよ。
しゃけ:
うんうん。自分の声が好きだと幸せになります。昔から音楽が好きだったのですか?
永里子さん:
子供のころに声楽家になりたいと思った記憶はないですね。工作が得意だったので美術の先生になりたかったけれど、デッサンができなくて。動物が好きなので獣医を目指したいと思ったけど、カエルの解剖が無理でした(笑)
今は歌を歌っている時、とても幸せです。頭が開くというのかな、パッカーン!って。「第三の目」と言ったらいいのかな。「声楽家の修行は、第三の目を開くこと」と言っていいと思います。
歌うには自分の体のすべて(頭のてっぺんからつま先まで)を使います。全身をコントロールする気持ちよさと、舞台から会場全体をコントールできている!と感じる瞬間がたまりませんね。
凧揚げの凧になった気分です。タコ糸は音程です。わかるかな。
しゃけ:
うんうん。気持ちよさそう!歌に興味を持ったのはいつだったのですか?
永里子さん:
両親の仕事の都合でタイのバンコクで小学生時代を過ごし6年生の時に帰国しました。転校してきたばかりの学校では謝恩会に向けてみんなで練習をしていたのですが、そこで私はソプラノのソロに選抜されたんです。特別歌がうまかったわけではなくて、度胸で選ばれたような気がしますけど。でもその時にみんなの前で歌を歌う気持ちよさを初めて味わったかもしれません。
しゃけ:
すごい!海外で育つと度胸がつきますね。高校時代には、視力を失った時期があったと本に書いてありましたね。
永里子さん:
マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナムと日本を行ったり来たりという学生時代でした。
高校時代にはアレルギーで目をこすりすぎて、「春季カタル」という病気になってしまいました。真っ暗になったわけではなくて、すべてが曇りガラスごしになってしまったような。でもそのおかげで耳が鍛えられたのかな。聴く力が養われて、音楽の素晴らしさに気が付きました。
もともと一人で過ごす時間は極楽ですし、楽観主義者なので、2年ほど見えない時期がありましたが、耳に集中したり、自分のことをじっくり見つめる期間になりました。
フランスの作曲家、モーリス・ラヴェルの「ボロディン風に」というピアノ曲を知ったことで、ピアノにものめり込みました。
しゃけ:
なるほど。メンタル心理カウンセラーの免許もお持ちなんですか?勉強家なんですね。
永里子さん:
はい。今は「ジェラシー」について研究中です。人をねたむ気持ち、ねたまれる人はどうしたら良いか、などに興味があります。
全体的にオタクなんですよ。研究しているのが好きです。お昼寝も好きですけど。
何かに興味を持つと、足が寒さで固まっているのも気が付かないくらいの勢いで勉強し続けてしまいます。漫画も大好き。「ベルサイユのばら」を研究しているうちにどうしてもベルサイユ宮殿が見たくなって、一人でフランスに行ったりもしました。
父も母も外国での仕事が多かったので、小さいころから一人で飛行機に乗ることが多かったんです。オーストリア留学中はオペラにハマりました。学生だと安い席は300円くらいなんですよ。いい席でも1200円くらいで観ることができました。
しゃけ:
わー。そして好きなことがお仕事につながったのですね?
永里子さん:
朝日新聞のデジタル記事でベルサイユのばらについての記事を募集していたんです。「ベルばら」の中の音楽を語るという立場で記事を書かせていただいたのがライターとしての初めての仕事でした。
音楽祭の音楽評論、「スパイス」、「Eプラス」で舞台評論の記事なども書かせていただきました。
ボイストレーナーとして、ビジネスパーソンに声の指導をすることもあります。
今は二冊目の本を脱稿したばかりです。
まずはみなさん、ご自身の「声」に興味を持っていただきたいです。そして私の書いた本が誰かのお役に立てたら本当に嬉しいです。