龍本司運(Tatsumoto Shiun)Instagram Twitter note
中国生まれ日本育ち 隠岐の島(おきのしま)在住
生きる実験家 なるようにナルシスト
5歳 中国から日本へ
小学生のころ日本人に帰化
単身アメリカ留学7年(高校、大学)
すべてを手放して 日本無一文の旅
中国へ 徒歩横断3000kmの旅
インドへ 片道切符放浪旅
長野へ 農的暮らし自給自足生活
車を家へ モバイルハウスDIY
能登半島へ ド田舎限界集落生活
安曇野へ 荒地と廃屋をリノベーション
東京へ 30日間0円生活チャレンジ
沖縄へ ぶらっと流浪旅
タイへ 手ぶらで飛行機に乗る
隠岐の島へ 「ギフトハウス」実験中
しゃけ:
しうんさん、珍しいお名前ですね。本名ですか?
司運さん:
はい。両親が中国人なので、中国語の名前と日本語の名前があります。「龍と共に運を司る」という意味です。運を司って「すべては、なるようになる」と信じて生きています。
しゃけ:
なるようにナルシストという肩書きもいいですね。私もそうかも(笑)幼少期に夢はありましたか?学生時代の様子も教えていただけたら嬉しいです。
司運さん:
え?しゃけさんと意外な共通点?小さいころは「社長になりたい」と思っていました。僕が生まれてからすぐ両親が二人とも日本に留学していたので、5歳くらいまでは中国で祖父母に育てられました。第一言語は中国語です。
両親は日本の大学院で博士号を取り、製薬会社でバリバリ仕事をしていましたね。あのころは一人っ子政策というものがあったので、一人息子です。勉強は苦手で頑張った記憶はないけど、親の敷いたレールに乗って私立の中学校へ。高校と大学はアメリカに留学して、一流企業に就職したんですよ。生き方としてそれ以外考えられなかったというか、特になんの疑問も持たずに楽しい学生生活を過ごして就職しました。
しゃけ:
一流企業に就職!から、なるようにナルシストへ?何かきっかけがあったのですか?
司運さん:
製薬関係の仕事だったのですが、薬をどんどん売る仕事ってどうなんだろう。。と考えてしまったんです。本来薬がなくても生きていけるほうが幸せなのだし、薬が減っていくことが良いことなのに、増やしていくってどうなんだろうって。
同時に成長、発展、資本主義、「お金を稼ぐこと」自体にも疑問がわいてきて・・・。就職して5か月で会社を辞めました。親はもちろん理解してくれず、「会社を辞めるならこの家から出ていけ!」ということで実家を出てシェアハウスへ。ここから生きる実験が始まりました。
しゃけ:
わ!医療の発展への疑問・・・なるほど。
司運さん:
同じような考えを持つ仲間と話すうちに「生きる実験」というワードが降りてきました。トーマス・エジソンが「私は失敗はしていない。1万通りのダメな方法を見つけただけだ」と言っているのですが、人生がずっと実験中ならば何が起こっても失敗ではない、となりませんか?
今も毎日が試行錯誤の連続ですが、「なるようになる」と思うと、なにも怖いものがないんです。
しゃけ:
確かに!私も資本主義には限界がきているような気がします。資本主義に代わる主義としてどのようなイメージがありますか?
司運さん:
共存主義とか、贈与主義かなあ。ギフトエコノミーの世界がくるのではないかな。資本主義でトップになる!とか誰よりも稼ぐ!とか、ずっと右肩上がりでないとダメな世界に疲れが見えてきたと思います。これからは、与え合う感謝とか尊敬、優しさというお金で買えないものに価値をより感じる時代になるのではないでしょうか。
僕は「レンタル司運」というサービスをしているのですが、「自分は共有物です」と言っています。ジーニーのように呼ばれたところに飛んでいってお困り事を助けたり、一緒に時間を過ごすことがサービスですというと、「ナルシストだね」と言われるのですが。うん、そうだ、なるようにナルシストなんだ!って自分をまるごと肯定(笑)
しゃけ:
ほほう。面白い!
司運さん:
人間関係って基本一対一しかないと思っているので、自分と相手がOKでハッピーであれば、他の人からどう思われようとどう言われようと構いません。
世界中どこへでも、呼ばれたところに行かせてもらっています。あなたのもとに司運しますよ。誰かが喜んでくれるのを見るのが嬉しいんですね。この間はタイから呼んでいただきました。
持ち物はパスポート、サイフ、充電器、スマホ、帽子だけ。身軽でいいでしょう?人間って案外持っていなくても楽しく生きていけます!
この夏は隠岐の島に呼んでいただいて、「かわいい子には旅をさせよう」というプロジェクトに関わらせていただきました。「ごちゃまぜ家族」というコンセプトで、オランダや台湾など世界各地からご縁あって隠岐の島にやって来た大人と子供たちと大自然の中で遊んで共同生活をしました。
実は去年の夏もこちらに居させてもらったのですが、その時自分は鬱になってほとんど部屋から出られない1か月間を過ごしていたんです。目の前が海なのに、一歩も外に出ないでクーラーの効いた部屋に一人でこもってしまいました。
そんな自分に何も言わずに毎日ごはんを運んでくれたのは、隠岐の島で自然体験のガイドをしている村上水軍さんです。親戚でもなんでもないのに家族のように接してくれました。「家族」って血縁関係だけの繋がりだけではないな、と感じたんですよね。婚姻届にサインしたとかしないとか、そういうことでもないし。僕には3歳の息子がいます。離婚したので一緒に暮らせてはいないのですが、大切な家族です。
しゃけ:
多様性の時代、家族の形も多様化していいと思います。パパがたくさんいたら子供も嬉しいのではないかな。フランスでは働かない若者が増えているそうですし、最先端の生き方なのかもしれないですね。
司運さん:
「いい学校に行って、いい会社に就職する、結婚して子供を持つ」これが幸せな人はそれでいいし、当てはまらない人がいてもいい。中国でも寝そべり族っていますよね。子供がどんな生き方を選択をしようと、家族だからといって縛り合うのはおかしいと思っています。違う価値観でもお互いの幸せを尊重できたらいいなと。
今は実の母とも仲良くできています。自分も母も「こっちが正しい、わかってほしい」と言い争うのをやめたんですね。お互い別々の思いでも、違う場所でそれぞれが幸せだったらいいじゃないか、と思えるようになりました。会いたい時に会いたい人と会って楽しい時間を過ごせることが僕の幸せです。
しゃけ:
うんうん。幸せには正解がないし、一人ひとり違って当たり前ですよね。今どんな実験をしていますか?
司運さん:
今「ギフトハウス」という構想があります。Be your PEACE. 本来の自分らしさを思う存分発揮して、あるがままの天性や才能を「ギフト」し合い、喜びと感謝が循環する場づくりをしたいです。
後世に名を残したいとか野望はないんです。ただ自分が実験してわかってきたのは、重苦しい思いをしている人を軽くしてあげたい、それが身軽に生きている自分にできることなんじゃないかなと。
親には責任が伴うので子供もそれを感じて重苦しくなって居心地が悪くなったりしますよね。愛情も空回りするし。無責任な存在って、たまに必要だと思ってもらえることがあるんです。自分が道化師ピエロみたいだな、と思うこともありますが(笑)こっちも楽しんでいるのに、それで誰かが喜んでくれるなら嬉しいじゃないですか?
生きているだけで、あなたはあなたのままで素晴らしいんだよということが伝えられるような活動をしていきたいです。
しゃけ:
隠岐の島で司運さんと一緒に過ごした皆さんにもお話を聞かせていただきました。
村上水軍さん:
司運くんはふらふらしているように見えるけど、自分をしっかり持っている人です。いなくなったら困るけど、また会えるという楽しみは増えるから。いつでも自由に出入りしてもらっていいですよ。
Hさん:
ごちゃまぜ家族に参加させていただきました。知らない人同士がいきなり共同生活って最初はカオスでした(笑)でも家族旅行では絶対に味わえない、ごちゃまぜファミリーライフ。貴重な体験の数々に感謝です。
Tさん:
司運さんは見た目は陽気だけど、実は真面目で気遣いできる紳士。ごちゃまぜ家族では自分は何ができるだろうと自分で考えて、自発的にみんなが動くことで誰かに感謝される、といういい流れができたと思います。
司運さん:
皆さんとの出会いに感謝です。ありがとうございます。
息子に会うために関東にも行くので、しゃけさんにも近々お会いできたら嬉しいです。